
ナーセリー斎藤の、シクラメンの安定生産と安定販売のための取り組みについてご紹介します。
シクラメンの生産・販売は、ナーセリー斎藤の市場外流通拡大の基礎となった重要な部門です。また、消費者に直接販売することから、消費者の好みの変化や生活スタイルの変化などをもっとも早く知ることのできる部門でもあります。
| シクラメン部門の課題 | シクラメンの栽培 | 栄養診断 | 用土の改善 |
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【課題-生産の安定と品質の向上】
・ボリュームアップ
・ロス率の削減
シクラメン部門の経営内容を見直してみると、規模拡大にともない、品質の低下やロス率の増加が見られ、生産規模に見合った利益が十分に確保できていないと考えられました。
そこで「生産の安定と品質の向上」を目指して、ボリュームのある良品を生産することとロス率を下げることを課題としました。
シクラメンの栽培は、11月の播種から始まります。そして、できた苗をポリポットに植え付け、その後、根の伸びに合わせて2回大きな鉢に植え替えます。
播種から販売までに1年以上の期間がかかるうえに、高温多湿の夏が苦手な植物です。このため、肥料や水などをきめ細かくきちんと管理しないと、葉の枚数が少なくボリューム不足となったり、病気にかかりやすくなったりします。
そこで、最初に、肥料のやり方に問題があるのではないかと考えて、定期的な栄養診断をおこないました。17年度のことです。
栄養診断というのは、用土の中に植物の吸収できる肥料がどのぐらいあるのかを把握するものです。
まず最初に、鉢土の上から水を静かに注ぎ、鉢底から出てきた水に試験紙を漬け、カラーチャートと比較して硝酸イオン濃度を測定します。
濃度が50ppmぐらいの低めの数値で安定していると品質の良いものができることが分かっています。
このグラフは鉢上げから販売前まで測定した結果をまとめたものです。棒グラフが硝酸イオン濃度ですが、かなり上下していることが分かります。
しかし、このときの用土と肥料のやり方では、追肥のやり方を調節しても硝酸イオン濃度をコントロールすることができませんでした。
このように17年度の栄養診断のデータが大きく上下したことから、コントロールできない形で肥料分が供給されていると推定し、用土と肥料のやり方を見直すことにしました。
【これまでの問題点】
・用土について・・・有機質の割合が高く、肥料濃度のコントロールが難しい
・施肥について・・・元肥・置肥主体のため、施肥による肥料濃度のコントロールが難しい
まず、用土については、混合している素材別に検討し、牛糞堆肥から予想以上に多くの硝酸イオンが溶け出していることを突き止めました。
次に、肥料のやり方については、固形肥料による元肥、置き肥中心のやり方では、その時々の状況に合わせた適切な施肥管理が難しいのではないかと考えました。
以上の検討結果から次のような改善をおこないました。
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牛糞堆肥から肥料分が多く出ていることが分かったので、牛糞堆肥は一切いれないことにしました。
また、用土の物理性にも注目しました。特に、用土の気相率がシクラメンの生育に大きな影響を与えると言われており、20~25%程度を確保する必要があります。これは、用土の排水性にも影響を与えるので、肥料濃度のコントロールの点でも重要です。
これまでの用土から牛糞堆肥を除いたものでは、気相率が11%しかありませんでした。そこで、気相率を高めるために軽石を混合しました。その結果、気相率を25%まで高めることが出来ました。
【施肥の改善】
・固形肥料から液肥へ転換
・外部の専門家の活用
次に、肥料のやり方の改善ですが、どんな気象の変化にも柔軟に対応できるようにするため、固形肥料主体のやり方から液肥による方法に切り替えました。
しかし、常にシクラメンの生育状況や肥料の残り具合などを把握して対応していかないと固形肥料と同じことです。そこで、外部のコンサルタントを活用して定期的にアドバイスを受けることにしました。もちろん、栄養診断も継続して実施しました。
その結果、排出液の硝酸イオン濃度は、17年度は大きく上下に変動しているのに対して、18年度はかなり安定していることが分かりました。
また、葉枚数の増加も、17年度は時期によって増え方に差があったのに対して、18年度は暑い時期に増える量が減った以外は、安定してなめらかに増えていることが分かりました。
実際の施肥管理の場面でも、栄養診断のデータを確認しながら液肥の種類や濃度を変えることで排出液の硝酸イオン濃度をコントロールすることが出来ました。
また、シクラメンは、小葉で葉のそろいが良く、枚数が多いのが良いと言われています。
写真を見ていただくと分かりますが、単に葉枚数が増えただけでなく、一枚一枚の葉が全体に小さくなりボリューム感が良くなっただけでなく、株全体のバランスも良くなり、品質面でもたいへん良い結果になりました。
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【目標に対しての結果】
・ボリュームアップ→葉枚数が増加し、品質が向上した
・ロス率の削減→ロス率が下がり、品質が安定した
目標としたボリュームアップやロス率の削減は、達成することができました。
それだけでなく、一枚一枚の葉の大きさが小さく均一になり、株全体のバランスも良くなりました。また、ロス率が下がっただけでなく、鉢による品質のばらつきが少なくなり揃いも良くなりました。
しかも、固形肥料から液肥に変えたことで労力の削減にもなり、コストも下がりました。
今回得られた結果を踏まえて、今後の生産部門の目標として、次の3点を考えています。
【今後の課題】
・作業の単純化とマニュアル化
・品質の向上と均一化 → 生産計画の実現
・開花時期の確実なコントロール
一つは、作業の単純化とマニュアル化です。長年の経験がないと出来ないと言われる作業を出来る限りマニュアル化し、誰が作業をしても同じ結果となるようにしていきたいと考えています。液肥に切り替えたことや用土を変えたことで実現可能な手応えを感じています。
二つ目は、今年のノウハウを基礎として、より一層の品質の向上と均一化を図りたいと思います。また、栄養診断も継続的に実施してデータの蓄積を図ります。
三つ目は、開花時期の確実なコントロールです。これは施肥管理がしっかり出来れば可能だと思います。
こうした課題を解決することによってシクラメンの計画生産が実施できるようになります。
ナーセリー斎藤の経営は、多くの人たちとのコミュニケーションによって成り立っています。これからもネットワークを広げ、多くの人たちの力も借りながら、よりよい経営を目指したいと思っています。
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